気が緩んだり、ホッとしたり、嬉しかったり、悲しくも辛くもないのに泣きたくなる時があるのだと、萌は晴臣に出会って初めて知った。

晴臣はいつも萌がほしい言葉をくれる。彼と一緒にいると、なぜか感情を素直に出せた。嬉しくて、本当に嬉しくて頬が自然と緩む。

「ありがとうございます。すごく嬉しい」

下を向いて胸元を見ると、四つ葉のクローバーが春の光を浴びてキラキラと輝いている。誕生日プレゼントにアクセサリーを貰うなんて初めてだ。プレゼントはもちろん、これからもずっと祝うという彼の気持ちが嬉しくて堪らない。

ぽろりと一筋の涙が零れた。それを晴臣の長く綺麗な指が拭い、口を真一文字に引き結んだ彼は、萌の肩をそっと抱き寄せて包み込んだ。

「は、晴臣さん……?」

突然抱きしめられ、飛び上がるほど驚いた。全身が強張り、ドクンドクンと鼓動が強く脈打っているのがわかる。

周囲には人はおらず、ここにいるのは萌と晴臣だけ。彼の息遣いが鼓膜を震わせ、心臓が痛いほど騒ぎ出す。