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晴臣と暮らし始めて一週間ほど経つと、彼との生活にも少しだけ慣れてきた。

朝は同じ時間に起きて一緒に朝食をとり、夜は萌が仕事終わりに食材の買い物をして夕食を作る。

毎日定時で上がれる萌と違い、晴臣は多忙だ。彼の仕事が早く終われば一緒に食べる日もあるし、遅くなるようなら先に食事を済ませている。

先日、食費や日用品、他にも服など足りないものがあれば使うようにと、晴臣からクレジットカードを渡された。彼は生活にかかる費用の一切を萌に出させるつもりはないらしい。

その代わり、萌は掃除や洗濯、料理など家事のすべてを自分が担当すると申し出たが、彼は当初首を縦に振らなかった。

「萌は俺の妻になるのであって、家政婦じゃないよ」

晴臣はそう言うが、萌としては彼の高級マンションに住まわせてもらい、食費も生活費も受け取ってもらえないとなると、どうしても心苦しく感じてしまう。