「よかった。じゃあ早速、ひとつ約束だ」
「はい」
「夫婦になるんだから、俺には言いたいことは言うこと。なんでも我慢して飲み込んでばかりじゃ、いい夫婦とは言えないだろう」

自分の意見を言うのが苦手な萌にとって、なかなか難易度の高い約束だ。けれど、たった今できる限りの努力をしようと誓ったばかり。

萌は「はい」と大きく頷いた。

「うん、じゃあ買い物を再開しようか。あと足りないものは? もちろん遠慮はなしだよ」

早速意見を聞かれ、萌はずっと気になっていたものを挙げた。

「できれば、お布団を買いたくて」
「布団?」
「昨夜のようにご迷惑をおかけするわけにはいかないので……」

昨夜の萌は、お風呂上がりに晴臣の作ったブランデー入りのホットチョコレートを飲んでいる途中で眠ってしまったらしい。