ぺこっと頭を下げると、こちらに近づいてきた晴臣がクスッと笑った気配がする。
「やっぱり、かなり大きかったね」
「あ、お見苦しくてすみません」
「いや。子供が親の服を着たみたいで可愛い」
そう言われ、萌の頬がかあっと熱くなる。
異性に対する〝可愛い〟とは意味合いが違うのはわかっているが、それでも言われ慣れない言葉がやけに耳に残った。
腰をすっぽりと覆うほど長いTシャツの裾をぎゅっと握っていると、晴臣は中央に置かれたL字型のソファに萌を座らせ、目の前の床に膝をついた。
「あ、あの」
「傷を見せて。かなり痛む?」
「いえっ! あの、じ、自分で……!」
男性に素足を晒しているだけでも恥ずかしいのに、手当てをしてもらうなどとんでもない。
思わず膝を抱くように引き寄せて脛の傷を隠すと、その様子を見た晴臣が再び声を上げて笑った。