これには当事者の萌も目を見開いて驚いた。

(一緒に住む? 試しに何度か会ってみるって話だったはずじゃ……?)

頭の中は疑問符だらけだが、晴臣は翔子相手にどんどん話を進めていく。

「ご理解いただけましたか?」
「そんな勝手な……あ、いえ、でも主人に聞いてみませんと」
「秋月社長には改めてご挨拶に伺います。病院の外来時間が終わってしまうと困るので、今日はこれで失礼します」

穏やかではあるが有無を言わさぬ物言いは、やはり大企業を継ぐべき風格を感じさせる。

晴臣は萌を引き寄せ、そのまま肩を抱いて守るようにして秋月家を出た。