「そんな顔で見つめられると、甘やかすよりも前に理性が吹き飛びそうになって困る」

苦笑する晴臣の首に、萌は自分からぎゅっと抱きついた。

「……今日は、この部屋にふたりきりですよ?」

自分でも大胆な誘いをしている自覚はある。

けれど彼が言ったのだ。甘やかしてくれると。

きっとどんな萌も受け入れてくれる、そう信じられた。

「理性なんて、いらないです」

抱きついたまま晴臣の耳元で囁くと、彼は「ああ、もう」と萌を力いっぱい掻き抱いた。

「今日は、甘やかしたい気分だったのに」
「……だったのに?」
「もうダメだって泣くまでめちゃくちゃにしたくなった」
「ん……っ!」

すべてを奪うようなキスを受け止めながら、晴臣の大きくて深い愛情を感じ、萌は幸せの濁流に身を任せた。