『部屋で光莉と陽太と待ってます。それに、そんなにショックを受けてるわけではないので大丈夫ですよ』

これは気を遣っているわけではなく本心だった。久しぶりに翔子や玲香の毒を浴び、自分でも過去のように萎縮してしまうかもしれないと思っていたが、意外なほど動じないで済んだ。

もちろん話の内容には驚いているし、今になって頬がジンジンと痛みだしているけれど、ようやくあの一家との決着が着いたのだという安堵の方が大きいような気もする。

萌はパーティーが行われているホテルの客室階へエレベーターで上がり、理恵が双子を見てくれている部屋へ向かった。

すると、すでに双子はぐっすりと眠ったあとだった。

『お昼はみんなで公園へ行って、夕方からは私とこの部屋で遊んだでしょう? 珍しくお昼寝をしなかったから、ご飯を食べたらこの通りすぐ眠っちゃったのよ』

そう話す彼女に早めに迎えに来た事情を話すと、『このまま一晩ふたりを預かるから、今日は夫婦水入らずで過ごしたらどう?』と続けた。

今日一日預かってもらっただけでもありがたかったのに、そこまで甘えられない。そう遠慮した萌だが、理恵は『せっかく私たちがこっちに来たんだし、たまにはゆっくりしたらいいのよ。』と言いながら、萌の頬を冷やすためにビニール袋に氷を入れてくれた。