(なにひとつ成長していない。変わらないんだ、この人たちは……)

どれだけ話してもわかってもらえない。それがもどかしく、ひどく悲しい。

それでも萌は毅然とした態度で彼らに告げた。

「三年前のこと、私は後悔していません。あなたたちを家族とは思っていないし、二度とかかわる気もありません」
「なんですって……?」
「ここはあなたたちの来る場所ではありません。お引き取りください」
「お前、いい加減に――」
「萌ちゃん?」

唐突に名前を呼ばれ、萌は弾かれたように振り返る。そこにはパーティー仕様の黒いスーツに身を包んだ田辺が立っていた。

「社長……」

田辺は萌の左頬が腫れ上がっているのに気づき、眉間に皺を寄せる。

「その顔、一体どうしたんだい?」
「あ、あの……」

萌がどう説明すべきか狼狽えていると、健二が彼を見るなり「あんた、田辺か……!」と激昂した。