(叔母さんたち、どうしてここに……!)

萌は驚きに身を固くし、その場に立ち竦んだ。

秋月工業はすでに桐生自動車との取引は終了しており、このパーティーにも招待などされていないはずだ。

萌が告発したことで会社の経営は火の車となり、晴臣の話では他の取引先からも製造品の不良などで訴えられていると聞く。

そんな時期に招かれてもいないパーティーに三人揃ってやって来るなんて、一体なにを考えているのだろう。

目を逸らせないままじっと受付を凝視し続けたせいか、翔子がちらりとこちらに視線を向けた。

「萌……!」

ハッと我に返った時には、もう遅かった。

翔子は止めようとする警備員を振り切り、萌の目の前までツカツカと歩み寄ってくる。そして大きく振り上げた右腕を萌の頬めがけて思いっきり振り下ろした。

パァンという打擲音が響き、萌はあまりの衝撃にその場に倒れ込む。