肩を竦めてみせる晴臣が本心で言っているのだとわかるため、余計に照れくさい。

「あの、私、ちょっとお手洗いに」
「場所わかる? 一緒に行こうか?」
「光莉や陽太じゃないんですから大丈夫です。晴臣さんとお話したい方はまだたくさんいらっしゃると思うので、戻っていてください」

萌は苦笑しながらそう言うと、「子供じゃないから心配してるんだよ」と過保護に呟きながら中央のホールへ戻っていく晴臣と別れてレストルームへ向かう。

パウダールームにある豪華なドレッサーに腰掛け、ふう、と小さく息を吐いた。

彼には大丈夫だと言ったが、初めてのパーティーへの極度の緊張で多少疲れているし、慣れないヒールでつま先が痛い。

けれどそれ以上に独占欲を滲ませる晴臣の甘さに悶え、照れて逃げてしまった。

このドレスに身を包んだ萌を見た時も、彼は「このまま萌とふたりきりで過ごしたい」などと呟いていた。

(晴臣さん、なんだかいつもに増して甘い……)

鏡を見ると、プロの手によって美しく変身させてもらった萌の顔から首までが桜色に染まっている。