その後、双子が目を覚ますと約束通り中庭に出て散策し、ホテル内にあるレストランからディナーをケータリングして四人で賑やかに食事を楽しむ。

一流レストランの料理はどれも素晴らしく、目も舌も楽しませてくれるのを存分に味わった。

双子の分は可愛らしくプレートに盛り付けてもらったため、光莉と陽太も大喜び。その様子を見ている萌もまた嬉しそうで、誕生日の祝い方は間違っていなかったのだと晴臣は頬を緩めた。

そうして食事を終え、ふたりを風呂に入れてドライヤーで髪を乾かし終えた頃には、そわそわと落ち着かない気分だった。

この部屋は家族三世代でも泊まれるように設計された部屋で、他の客室にはない和室がある。寝相の悪い双子が高いベッドから落ちないよう、和室に布団を敷いて寝かせられるのだ。

まだ双子は萌が一緒でないと眠れないため、「おやしゅみしゃいー」と挨拶をして和室へ入っていくのを手を振って見送る。

(早く抱きたくて仕方ないなんて、いい大人が焦りすぎてみっともないな)

こんなにも心を乱されるのは、あとにも先にも彼女だけ。

少し頭を冷やすためにも部屋に備え付けの酒を飲むが、あまり味を感じない。寝かしつけをしているのならばテレビをつけるのも憚られる。静かなリビングルームで萌を待つ時間が、途方もなく長く感じた。