しかし萌に対する感情はまるで違う。

彼女は幸せになってほしいというよりも、必ず自らの手で幸せにしたい唯一の存在だ。

(三年前、苦渋の決断で手を離した萌と、またこうして同じ空間で眠れるなんて)

ゴールデンウィーク三日目の朝。昨日に続き、目を覚ました時に感じたのは、双子の寝相の悪さと、萌を再びこの家に迎えられた喜び。

再会した萌が子供を生んでいると知り、雷に打たれたような衝撃を受けた。

光莉と陽太の顔立ちが幼い頃の自分に酷似していることや彼らの年齢を考えれば、間違いなく自分の子供だと確信があった。それでも何度も萌に確認したのは、彼女の口から真実が聞きたかったからだ。

頼れる親族のいない萌がひとりで双子を生み育てるなど、どれほど大変だったのか晴臣には想像もつかない。

彼女は実家の不正を見過ごせずに告発し、晴臣や桐生自動車に迷惑をかけまいと姿を消した。

どれだけの葛藤が彼女の心を苛んだのか、想像するだけで胸が抉られるように痛む。

三年の月日は長い。田辺一家の手助けがあったとはいえ、きっと心が折れそうになった日があったに違いない。