「でも今日見合いの席について、君と結婚しようと思った」

混乱して二の句が継げない。つい先ほど結婚を決める気はないと彼自身が言ったばかりだ。

「ど、どうして私なんかと結婚を……?」

ちぐはぐな話に首をかしげる萌に、晴臣は力強い眼差しを向けた。

「君は、今の現状から抜け出したいと思わないか?」

そう問われ、萌は目を瞬かせる。

「重ねて失礼なことを言うけど、今日の君のご家族の対応は、まともな大人のものとは思えない。実の娘だからと君の従姉妹を連れてきたのまではいいとしても、まるで彼女が見合い相手のように振る舞っていたし、席順や振り袖を着ているのにも驚いた」
「……申し訳ありません」

晴臣は言葉を選んで話してくれているが、声音から隠しきれない不快感が滲んでいた。