幼いふたりの眼差しを受け止め、晴臣はゆっくりとふたりに説明した。

「光莉、陽太、ずっと会いに来られなくてごめん。海の向こうにいたけど、ふたりのそばに帰ってきたんだ」
「……おみしゃん、パパ?」

光莉が先ほどと同じ質問を晴臣にする。しかし、その声に悲しみの色はない。

「うん、そうだよ」
「またうみのあっち、いく?」
「ううん。もう行かないよ。ずっと光莉と陽太とママのそばにいる。いつかこのおうちで、四人で一緒に暮らしたいって思ってるんだ」

じっと晴臣を見つめる光莉の瞳は真剣そのもので、彼女なりに必死に理解しようとしているのがありありとわかる。

「ママと、ひかりと、よーたと、……パパ?」
「うん」
「ずっと、いっしょ?」
「うん。ずっと一緒だよ」

優しい眼差しで微笑んだ晴臣の瞳に、きらりと光るものが見えた気がした。彼が涙ぐんでいるのか、自分の目に浮かぶ涙のせいでそう見えたのか、萌にはわからない。

けれどこの幸せな瞬間を見逃したくなくて、萌はまばたきも忘れて目の前の光景にじっと見入っていた。