「光莉もすべってみる?」

彼に尋ねられたが、光莉は小さく首を横に振った。

新幹線のホームでも車中でも陽太は楽しそうにしていたが、光莉はいつもよりもおとなしい気がする。念のために熱も測ったが平熱で、体調が悪いわけではなさそうだった。

陽太に比べて人見知りも場所見知りも激しい光莉だが、いつも陽太が一緒ならばすぐに慣れてしまうのに、晴臣には一切懐かない。

ふれあいパークでの帰りの車でようやく慣れてきたかなと思ったものの、今日はまた初対面の感じに戻っている。それどころか、警戒心がさらに強まっているようにも感じられた。

さすがの晴臣もこれ以上どう接したらいいのかわからないようで、少し寂しげに苦笑している。

いつか双子に晴臣が父親だと説明しなくてはならないし、彼らに慣れて受け入れてほしいという思いはある。

だからといって無理強いするつもりは微塵もない。この連休のお泊まりについても、万が一双子が家に帰りたいと言い出したら帰ろうと晴臣と話し合って決めていた。

萌は安心させるようにそっと光莉を抱きしめると、背中をトントンと軽くたたきながら尋ねた。