「えっと、いずれは彼と……家族になれたらなって」
「まぁまぁ! いいじゃない! よかったわね、萌ちゃん」
「ありがとうございます」

手をたたいて喜んでくれる理恵にも、妻の大きなリアクションに苦笑しながらも頷いてくれる田辺にも、何度感謝してもしきれない。

結婚を祝福してもらえるのがこんなに照れくさくて、泣きたくなるほど嬉しいなんて初めて知った。

「でも寂しくなるわね。いつ頃東京へ行く予定なの? もうふたりには話した?」

リビングにいる双子は、ふたりで積み木のおもちゃで遊んでいる。ちらりとそちらに視線を向け、萌は首を横に振った。

「いえ。まだ子供たちにはなにも話していないんです。それに社長と理恵さんにはとてもお世話になったのに、なんの恩返しもできないままここを離れるなんて」
「私たちのことは気にしなくていいのよ。ねぇ、あなた」
「あぁ。実は近々大規模な求人募集を出す手配をしてあるんだ。人を増やす余裕も出てきたし、どこかの熱い副社長さんが厄介な案件を持ちかけてきてね。今の人数じゃとても対処しきれないんだ」

茶目っ気たっぷりに田辺が微笑んだ。

これには萌だけでなく、晴臣も目を見開いて田辺の顔を見つめている。