そんな電話のやり取りの中で、東京を離れた萌が生活できているのも、双子を無事に育ててこられたのも、田辺夫妻がとても親身になって助けてくれたからだと話すと、彼は萌がプロポーズに頷いて二週間も経たないうちに田辺家へ挨拶に行く段取りをつけた。

『俺が萌と再会できたのも、双子に会えたのも、彼らのおかげなんだな。だったらきちんと挨拶に行きたい。萌の夫として、ふたりの父親として、これまでの経緯をきちんと説明して、改めて感謝を伝えたい』

そう話す彼の考えに異存はなく、自分からも改めて感謝を伝えようと思い、萌は晴臣と双子とともに田辺の自宅へやって来た。

四月下旬。ゴールデンウィークの初日の今日は、雲ひとつない晴天で行楽日和だ。気温も二十度を超え、初夏の陽気に世間の人々が浮き立つ中、晴臣はカッチリしたスーツ姿。夫妻はいつものように穏やかに出迎えてくれたが、なんだか妙に緊張する。

晴臣と萌の向かいには田辺と理恵が座っており、光莉と陽太は隣のリビングで遊んでいる。頻繁に訪れるため、ふたりにとっては自宅と同じくらいに慣れた環境だ。

「改めて、萌と子供たちを守ってくださり、ありがとうございました」

晴臣が和室の応接間で手をつき、深々と頭を下げた。

「彼女がどれだけ大変な思いをしたか、そしてどれだけ田辺社長や奥様が彼女を支えてくださったか、色々な話を伺いました」

そして晴臣の口から、改めて当時の話が語られた。