「しゃめしゃんは? いりゅ?」
「しゃめしゃん?」

陽太の舌っ足らずな言葉に首をかしげて困っている晴臣に、萌がフォローを入れる。

「鮫さんはどうだろうね?」
「あぁ、鮫さんか。探してみようか」
「うんっ」

そうしてお弁当を食べ終えると、一旦車に戻ってお弁当箱の入ったバッグを置き、ベビーカーを持ってパーク内にある水族館へと向かった。

双子の生活リズムは毎日規則的で、午後二時を過ぎると眠くなって歩いてくれなくなる。

案の定、ぺんぎんを見てはしゃいだり、本物の鮫が怖くて大泣きしたりしていると、満腹感も手伝って眠くなってきたようだ。

「ママ、ねんねぇ……」
「よーたもぉ」

どうやら今日は同時に睡魔がやって来たらしい。ベビーカーの右側に光莉、左側に陽太を乗せて五分ほど薄暗い館内を歩いていると、ふたりともあっという間に眠りに落ちた。