楽しそうなふたりのやりとりを尻目に、光莉は萌にぎゅっと抱きついて無言のまま。

「光莉?」

行きの車の中や、ふれあい広場でうさぎに餌をあげていた時には楽しそうにはしゃいでいたが、こうして晴臣が話しかけると萌にぴたっとくっついて離れない。

元々人見知りは陽太よりも光莉の方が激しく、保育園でもずっと泣いていたと先生からの報告を聞くのは彼女の方が多かった。

無理強いはしたくなくて、萌は〝大丈夫〟と伝わるように光莉をそっと抱きしめた。

「ママ?」
「うん、なぁに?」
「……ちゅぎ、いく?」
「次?」
「ぺんぎんしゃんいるって、いってた」

出発前の萌の言葉を覚えていたようで、早くぺんぎんを見たいらしい。

「そうだな。お弁当を食べたら、次はぺんぎんさんとお魚さんを見に行こうか」

晴臣が萌にくっついている光莉に言葉をかけると、彼女は恥ずかしそうに微笑んで頷いた。

(よかった。怖がってるわけじゃなくて、緊張してるだけかな)