「ふたりがこんなに楽しそうなのは、きっと君と一緒だからだ。萌が日頃からふたりを大切に育てているからこそ、事あるごとにママを呼ぶんだ。嬉しかったり楽しかったりする感情を共有したいから」

双子に向けていたスマホを下ろし、晴臣は萌に柔らかい笑顔を向けた。

「いいママじゃないなんてあり得ない。それはあの子たちを見れば一目瞭然だ」
「晴臣さん……」
「ほら。俺たちも楽しもう」

晴臣は萌の不安に思う気持ちをあっという間にすくい上げ、再び視線を双子に向ける。萌もまたうさぎに夢中になっているふたりに視線を戻したが、意識だけは晴臣にとらわれたままだった。


「光莉、陽太。そろそろお昼ご飯にしようか」
「あむー!」
「あむーしゅるー!」

ふれあい広場でうさぎやモルモットと戯れ、ポニーの背中に乗り、園内をぐるりと一周できるパークトレインに乗り終えた頃には、時計の針はすでに十二時半を回っていた。

芝生広場に移動して持ってきたレジャーシートを敷き、大きなトートバッグからお弁当を取り出した。

双子用にひと口サイズのおにぎりをラップに包んだものと、ほうれん草入りの卵焼き、ハンバーグ、かぼちゃコロッケなど、手づかみで食べられる小さいサイズのおかず数種類を、ケンカしないようそれぞれのお弁当箱に詰めてある。