そうして準備を終え、近くに停めていた車へと向かう。

トランクに双子用のベビーカーを積んでもらい、おむつや着替え、水筒の入ったリュックと、いつもよりも一時間早く起きて作ったお弁当もトートバッグに入れて持ってきた。

「よし、出発するよ。準備はいいかな?」
「あいっ!」

晴臣が借りてきた車の後部座席にはしっかり二台のチャイルドシートが取りつけられており、ふたりは嫌がる素振りもなく座ると、きゃっきゃと大人には聞き取れない言葉で会話をしながら窓の外を流れる景色を楽しんでいる。

「よかった、ご機嫌だ。でも、まだ俺にはなにを言ってるのか聞き取れないな」
「私も半分ぐらいはわからないです。でもふたりの間では通じてるみたいで」
「双子って感じ、いいね」

バックミラーでちらちら双子を見ながら運転する晴臣は、子煩悩な父親の顔をしている。

助手席からそんな彼の横顔を盗み見ながら、萌もまた四人で過ごす時間に胸を高鳴らせていた。