理恵は育児をしながら働いている萌を気遣い、平日は自宅の夕食に招いてくれたり、休日にはこうしておかずを差し入れしたりしてくれる。

いつも甘えてばかりで申し訳ないと思う一方、頼られた方が嬉しいという彼らのあたたかい言葉が心強い。

「あぁ。その格好……どっか出掛けるのか?」

康平に指摘され、萌は自分の服装を改めて見下ろした。

いつもの休日なら子供たちと遊んだり、スーパーに買い物に行ったりするだけなので、シンプルなトップスにデニムなどのカジュアルなスタイルばかりだ。

今日も先ほどまではそうだったが、帰宅してからシフォンブラウスに綺麗めなパンツとセットアップのジレに着替えている。

メイクもいつもと違ってきちんとベースから作り、手持ちのコスメでできる限り華やかになるように仕上げた。

どこに行くのかは聞いていないが、晴臣と会うのなら少しでも身奇麗にしていたい。そう感じる自分は、やはりまだ彼を想っているのだと強く自覚した。

すると、康平は小さく息を吐いたあと「桐生さんか」と呟いた。鋭すぎる指摘に目が点になる。

「どうして……」
「やっぱり、あの人が双子の父親なのか?」