この部屋に入った時と同じ質問が繰り返される。

これ以上誤魔化しようがなく、萌は頷いた。

「勝手なことをして、すみません。こっちに着いて、告発したあとに気づいて……連絡しようか迷ったけど、どうしてもできなくて……」

言葉を詰まらせながら話す萌を、晴臣は再び優しく抱きしめた。

「謝らないで。きっとたくさん悩ませたよな。それでも、ふたりを生んでくれてありがとう、萌」
「晴臣さん……」

相談もなしに生んだにもかかわらず、『ありがとう』と感謝されるとは思わなかった。彼の胸の中にいると、双子の誕生を歓迎してくれる晴臣の気持ちが直接伝わってくる気がする。久しぶりに感じるぬくもりに抗えず、萌はそっと身体を預けた。

「ひとりで双子を育てて、大変だったよな。仕事と家事をしながら双子の育児なんて……全部背負わせてしまって、後悔してもしきれない。そばにいられなくて本当にごめん」
「晴臣さんのせいじゃないです。自分で考えて決めたんです。私が、ふたりに会いたいって思ったから」

『いいか悪いかじゃない。萌がどうしたいかだよ』

晴臣からもらった言葉は、ずっと萌の心の支えだった。思考を止めず、たくさん考えて悩んで決めた。そう告げると、晴臣は驚いた表情をしたあと、愛おしそうに目を細めて頷いた。