病院内でも、ウワサになってるの? ウソ……。
「流石に、本人も気付くんじゃないの?」
早崎は「気付いてねえから、悪魔って呼ばれてるんだろ?」と私に言う。
「えっ、気付いてないの?」
「気付いてないだろ、あれは」
そ、そうなんだ……。
「あ、悪魔って……怖いのかな」
「確かに、見た目はヤンキーっぽいな」
「や、ヤンキー!?」
え!ヤンキーな見た目してるの!? まさか、金髪にタトゥーとかじゃないよね!?
「冗談だよ。ヤンキーじゃないよ」
「な、なんだ……良かった」
そしてその後、病院内でその天才外科医に出会った私はーーー。
「あ……あなたが、あく……じゃない。天才外科医の、片霧(かたぎり)さん、ですか?」
「は? お前誰?」
初対面の私に、「気安く話しかけるな」っていう顔をしていた。
「私、カナシマ製薬の青峰(あおみね)美耶子と言います。 よろしくお願いします」
「カナシマ製薬……? ああ、カナシマ製薬の新人?」
「は、はい」
カナシマ製薬ということは、分かっているのね……。
「で? 俺になんの用?」
「今日は、新しい新薬について紹介したくて……」
片霧さんは、面倒くさそうな顔で「新薬なら必要ない」と話を遮ってきた。
「いえ。でも、新しい新薬なので……」