「……え? 今、なんて言ったの?」

 私は今、婚約者から信じられないことを告げられた。

「俺と別れてほしい、美耶子(みやこ)」

「え? なんで……?」

 婚約者の椿(つばき)から突然別れを告げられたことを、まだ私は受け入れられないでいる。

「好きな人が、出来たんだ」

「好きな……人?」

 え?どういうこと……? いや、待ってよ。分からない。
 好きな人が出来たってなに? だって私たち、婚約したんだよ?
 結婚することに決まってたじゃん。 なのに、なんで……?

「本当にごめん……美耶子」

「え? ちょっと待ってよ……。意味が分からないん、だけど」

 好きな人が出来たってなに? 私以外に、好きな人が出来たってこと?
 え……。なんで?

「ねえ、椿……。好きな人が出来たってなに? 私のこと、愛してるって言ったよね……?」

 私のことを愛してるってあの言葉は……ウソだったの?

「言ったよ、確かに。愛してるって」

「じゃあ……なんで?」

「実は……美耶子に言ってないことがあるんだ」

 私はその時、椿から衝撃的な言葉を告げられたのだった。

「言ってない……こと?」

「俺……本当ば男゙が好きなんだ」

 私はそれを聞いて「え……?」と椿を見つめる。

「俺は、男しか好きになれないんだ……」

 え、それってーーー。