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久しぶりに彗と並ぶ帰り道。

本来ならばハッピーで埋め尽くされているはずの時間が、ちょっぴり複雑な気分だ。


それも、さっきの井手先輩のせい。

だってさあ。


「私、推しに似てたから好かれてたの?!」


そんな展開、予想外すぎるんだもん。

あの時先輩がポケットから落としたのは、なにかのアニメのキャラクターが描かれたキーホルダーで。

先輩曰く、そのキャラクターに私がそっくりだったから、〝一目惚れしちゃった〟んだって。

つまり結局、先輩は純粋に私のことが好きってわけじゃなくて、好きなキャラクターと重ねた私が好きだったってわけだ。


……うぅ。

少しでも可哀想だと思った自分が切ないよ。



「……けどまあ、結果よかったんじゃない」


とほほと肩を落とした私の耳にそんな彗の声が響いて、顔を上げる。


「それは、そうだけど……」