え。

振り返って飛び込んできたその姿に、私は目を見開いた。


「栢野さん!」

「井手先輩!?」


な、なんで先輩が……!?


「っ……!」


驚いている間に掴まれた腕が強く引かれる。


「ちょ、何するんですか!」

「話があるんだ」

「話ならここでも」

「二人きりで話したいんだよ」


怖い。

先輩の顔、いつもの感じと違う……!

どうしよう。逃げなきゃ。

いつの間にか恐怖で震え出した身体。


「あの──」


必死に声を絞り出した、その時だった。



「っ、いってぇ!」


……えっ?