「ねぇ」


会いたい人ってなに?

一体何を企んで──。


「さ、行くわよー!」

「ちょ、どこへ!?」


またもや私の声は届かなかったらしい。


いきなり掴まれた腕に引っ張られる私。

それも、2人がかりだからビクともしない。


「ねぇ、離してよ」


……というか。

なんでそんな楽しそうなのー!?


──そうして連れてこられたのは、2年2組と書かれた教室前だった。


ここまで来たらもうわかる。彼女たちの、目的の人物が。



「いーちがーやくんっ」


にっこりと目を三日月にした樹里が、陽気にその名前を呼んだ。


……どういうつもりなんだろう。

樹里なんて、この前までは怖いとかなんとか言ってたくせに。

ハラハラとその様子を見守っていると、教卓前に友達と集まっていたその人がこちらを向いて。


「なに?」


こっちまでやって来た彗が、廊下の窓枠に手をかけ不思議そうな目で私たちを見た。



……うわ、やっぱりちょっと変な感じ。

学校で彗と話すことは滅多にないから──。