『3人でケッコンなんかできねーんだから王子さまが2人なんて変だぞ!』
って。
たぶん、私たちの声を聞いて幼心におかしいと思ったのかもしれない。
その子は、いきなりのことに声を失った私に、
『1人だけ選ばなきゃいけないんだよ』
と〝正論〟を投げかけた。
でもこれはただの遊び。
そんな言葉無視すればいいだけ。
そう思うでしょう?
なのに焦った私は──。
『……じゃあ、宙くん』
そう答えてしまったんだ。
無視しなくてもそのまま両方を選ぶことだってできたのに、何故か彗を選ぶことが恥ずかしくって。
私は、その手を取ることができなかった。
……今でもたまに思い出す懐かしい記憶。
あの時はただ純粋で、引っ込み思案なところがあったから、今みたいに想いを見せることが少し照れくさかったんだ。
彗のお姫様になりたい。
本当はそう思ってたのにね。