……と、意気込んでみたものの。


ちょっと早く来すぎたかな?

目的地の最寄り駅に到着した私は、腕時計を見て少し不安になる。


予定では、10時に目的地の駅前で待ち合わせのはずだけど、今はまだ9時25分。



……朝に弱い彗がこんな早く来るはずないし──。


「ねぇ、あの人かっこよくない?」

「モデルさんかな」

「声とかかけてもいいのかな〜」

「やだ、ムリよ〜」


改札をくぐったところで、そんなひそひそ声が聞こえてきて予感する。


──もしかして。


「……っ」


黒のシャツに、白いインナー。

そして、オーバーサイズの黒いパンツ。

シンプルな服でも様になるその彼は、紛れもない──。


「彗!」


目に入るや否や、私は駅の外で待っていてくれた彗の元へぱたぱたと駆け寄った。