「いってきまーす!」


雲一つない晴天の朝。

ドアノブに手をかけ元気に挨拶をすると、お父さんとお母さんがバタバタと玄関まで走ってきた。


弁護士のお父さんと薬剤師のお母さん。

一見かっこいいうちの両親は、実はちょっぴり変わってて。


「みなみちゃん、忘れ物はない? ハンカチは? お財布だけは忘れちゃダメよ」

「それから、知らない人には絶対ついて行くんじゃないぞ。誘拐でもされたら大変だからな」


……とまあ、こんな感じで超がつくほどの過保護なんだ。


私が一人っ子だから、お父さんもお母さんも大切に育ててくれてるんだと思う。

だから気持ちは嬉しいし文句を言うつもりは全くないんだけど……。


「やっぱり、お父さんもみなみちゃんについて行っていいかな?」


さすがにそれにはうんと言えないよね。