「別に。俺だって慣れてねぇよ」

「……そう、なの? じゃあ、彼女は?」

「いたら彼氏のフリなんて引き受けねーって」


……そっかあ。

低く落とされたその声に、自然と顔が緩んでしまう。


「んなことより、例の人、今度はいつ会いに来んの?」


るんるん気分に浸る最中、彗が現実に引き戻すようなことを問いかけてきた。


「んー、それがよくわからないのよ」


あれから特に接触があった訳でもないし、連絡先だって交換してないからそもそもメッセージも届かない。

それに先輩、いつもいつも気まぐれのようにやってくるから……。


「じゃあさ、俺に2つ提案があるんだけど」

「え、なに?」


当然振られたそれに、私はすぐさま食いついた。