「ねぇ、近くない?」


感じる吐息が、妙に擽ったくてたまらないんだ。


「ダメ?」

「ダメ、じゃないけど……なんでこの体勢」


顔面ドアップの彗に耐えきれなくなって、目を逸らす。

そんな私を見てか、彗がほんの少し口角を上げた。


「……なんでだと思う?」

「え、あの」


ドクン、ドクン。

更に近づく距離に、視界が回り始める。


……も、もしかして。

これは、ドラマとか漫画でよく見る〝アレ〟なのでは。



「彼氏なんだから、いいよな?」

「っ」



うそ、どうしよう。

私、まだ心の準備が──。