「平気?」


ドキドキに耐えかねて下を向いた私の顔を覗き込んできた彗に、私は2テンポほど遅れてこくりと頷いた。

このくらいで根をあげるなんて悔しいんだもん。


「そ。なら……」

「……っ!?」


繋いだ手が引き寄せられたと思ったら、次の瞬間身体が何かに包まれていた。


「これはどう?」


耳元で落とされた声に、ぴくりと肩が跳ねる。


こ、これって……。

状況を把握するや否や、さっきまでとは比べ物にならないほど心拍数が急上昇するのがわかった。


私は今彗の腕の中。

私は今彗に抱きしめられてる。

そう思ったらもう、感情なんて制御できっこない。


「……みなみ?」


ひぃ!

せっかく我慢してるのに、耳元で囁くのやめてよ!


「へ、いき……」


今にも倒れそうになりながら、私はなんとか無理やり声を絞り出した。

というのに。