「宙には訊かなかったの?」

「……え?」


なんで宙くん?

思ってた答えと違って、反応が遅れてしまった。


「そんな話、宙くんにはできないよ」


なんかちょっとおこがましい気もするし。

第一好きな人のお兄さんだし。

……まあ、好きな人にこんな話をしてるのもどうかと思うけど……。


いやでも、そんなこと言ってられない状況なんだもん。

それに、相手は彗だから、彗と〝そういうふう〟に見えないといけないわけでしょう?


「とにかく、先輩に認めてもらわなきゃなの。彗の力貸して?」


お願いします! と手を合わせて頭を下げる。

すると暫くして、


「ふぅん……」


と小さな声が聞こえた。

気のせいかいつもより低いその声に反応して顔を上げる。

すると、こっちを見ていたらしい彗とバチッと目が合い、途端に心臓が震えた。


──あれ、なんか目が据わってる……?



「みなみはさ、実際にどこまでやっても平気?」

「へ?」


変な胸騒ぎを覚えるや否や投げかけられた質問に、間抜けな返事をしてしまった。


やるって……?