「えっとね、その……彼氏のフリの話なんだけどね。先輩に本物のカップルに見えないって言われたじゃない?」

「……ああ」

「だから、その……私に色々教えてほしくて!」


ちらっ。

気になって隣を見てみると、目に飛び込んできたのは露骨に〝は?〟みたいな顔をした彗だった。


──私、変なこと言った?


焦った私は頭をフル回転させて言葉を追加する。


「あの、私今まで付き合ったことないし彼氏彼女とかよくわからないでしょう? だから先輩に言い当てられちゃったのかと思って、それでその、私と彗が本物の恋人同士に見えるようにするにはどうすればいいのかなって思って……」


はぁ、はぁ。

息継ぎなく言ったせいで、酸素が欠乏してる。