「大丈夫、彗には言わないし。……お兄さん、みなみちゃんのこと応援してるから」
「宙くん……」
「なんかあったら、いつでも頼って」
忙しいはずなのに。
優しいなぁ、ほんと。
「だいすき〜」
堪らずぎゅーっと飛びつこうとしたら、寸前で止められてしまった。
「嬉しいけど、あんまりそういうのは怒られちゃうから」
だって。
よくわからないけど、ひどくない？
「……あ、そうだ。みなみちゃんに──」
ん？
何やら切り出した宙くんに耳を傾けたのと、ほぼ同時だった。
コンコンとノックする音がして、意識がそこへと持っていかれた。
「入って」
ＯＫの返事が聞こえるなり、そのドアは徐に開かれ。
刹那に現れたのは……。
「……彗！」
私の、待ち侘びた人だった。
