「ねぇ私……どうしたらいい? 恋人ってなに!? どうしたらそう見えるの!」


このままじゃなんのために彗に彼氏役をお願いしたのか。

諦めてくれないなら、意味ないじゃない!



「……もうさ、アレじゃない?」

「え?」


眉間に皺を寄せ、厳かな表情をした樹里。

なんだろう。

と、私は次の言葉をドキドキと見守る。


そして真っ直ぐに放たれたそれは、私に瞬きするのを忘れさせたんだ。



「つまり……〝本物の恋人〟を市ヶ谷くんにお願いするのよ」


……はい?