「なに?」

「や、なにじゃなくて」


どこでスイッチが入ったのか。

彗は慌てる私をよそに、頬や首筋、額へとキスの雨を降らしてくる。


「ねぇ、だめだって」

「嫌なの? 誰もいねーのに」

「……っ」


ここは私の家のリビング。

たしかにお母さんもお父さんも、今日は遅くまで仕事で帰ってこない。

珍しく思う存分楽しみなさいと言ってくれた。

甘美な誘惑に酔いしれ、どこか寂しげな瞳に心も揺らぎそうになる。


でも!


「嫌とかじゃなくて、宙くん来ちゃうから、ね?」


宙くんは朝大学に用があるということで、もう少ししたらここにやって来る。

なんて言ったって、今日は宙くんが主役のパーティーをすることになってるんだ。

こんなところでばったり遭遇……とか、恥ずかしすぎて黒歴史どころじゃない。


というのに。