「……って感じで、私と彗が付き合ってるように見えないって! どう思う?」



ほんと、有り得ないよね。

彗だってあんなに頑張ってくれたのにさ?


私の肩をぎゅっと抱き寄せて、真剣な目で『諦めてくれます?』って……。

ふふっ。

あの時の彗、かっこよかったなぁ──。


「たしかに」

「え?」


たしかに?

私は呟かれたそれに、ぽかんと口を開けてしまった。


「だから、たしかにそういうふうには見えないなーって」

「ひ、ひどい樹里!」


わざわざ言い直さなくても聞こえてるってば……!


「ねぇ、美月は──」

「ごめんね、みなみちゃん。私もちょっとわかるかも」

「……へ」


ガーーーン。

嘘でしょ。ねえ。


「なんでぇ。さっきは両想いかもとか言ってくれてたくせに!」

「……や、あの時は思ってたわよ。でもよく考えたら気づいたの。アンタたちの関係って恋人ってよりドラ〇もんとの〇太じゃんって」


ど、ドラ〇もんとの〇太!?


「なんて言うの? 付き合ってる男女ってさ、なんかそういう雰囲気醸し出してんじゃん?」

「……はあ」

「それ、ぜんぜん感じないし」


そ、そういう雰囲気って……?

恋愛なんてものは、ドラマとか漫画が私の教科書。

長年の片想いのせいで恋人なんていたことないし、そんなのほんとにわからない。