「やば、彗ベタ惚れじゃん」

「うん。そだね」


……うそ。


心臓が、やばい。

私の聞き間違い? ……じゃないよね。



「盗み聞き?」

「……っ!」

「いいけど、帰るよ」


声は出せなくて、代わりにこくこくと大きく頷いて返事する。


いつから気づいていたのか。

いつの間にかそばにいた彗が、私の腕を引っ張った。


──ドクン、ドクン。


跳ねる鼓動が止まらない。

校門を潜って暫く経つのに、体温がこんなにも上昇してるなんて。

彗の言葉はいつも、魔法みたいに私の心を魅了するんだ。


「みなみさ、夏休み空いてる日ある?」

「え」


夏休み?

ふと掛けられた声にふり向くと、手が伸びてきた。


「これあげる」

「ありがとう……?」


首を傾げながら受け取ったそれは、何かのチケットだった。

テーマパークの……。