「みなみが浮気しませんように」


ちょっ……。


「もうっ、彗〜〜!」

「いてっ。叩くなって」

「彗が意地悪言うからでしょう!」


ほんと酷い。

私が浮気なんてするはずないのに。

絶対適当に答えたんだ!


……あっ。

むっとしながら校門をくぐり抜けた、その時だった。


目に飛び込んできた、朝練中らしき校舎の周りを走る集団。

その中に、見覚えのある人影を見つけた。


……井出先輩。


相変わらず部活頑張ってるんだなあ。

真剣な様子に感心すると共に、私の中でなんとも言えない不思議な感覚が走った。