確かめてから今度はすうっと息を吸い込んだ。

澄んだ空気を取り込み、途端に鮮明になる頭。


10年前のあの日、空に願った願い事はただ一つだった。

私にできた、初めての夢。

……シンデレラになれなかったあの時から、今でも変わってないよ──。


『彗の、お姫様になれますように』


想いを全部全部詰め込んで願った瞬間、これまでの記憶が鮮やかに目の前に広がった。


初めて彗を好きだと思った日のこと。

彗に、彼氏のフリをしてもらったこと。

好きだと伝えるのが怖くて、言えなかった時のこと。

誰にもとられたくなくて、投げやりに想いをぶつけてしまったこと。


全てが大切で、かけがえのない思い出。


だけどたった一つ、私には心残りがあるんだ。