「嬉しい……っ」


黒を照らす一面の星。

キラキラ揺らめいて、心を奪う。


星の知識なんてちっともない頃、彗が教えてくれたんだ。

夏の大三角。

あっちが織姫様で、あっちが彦星様だよって。

だから私の、一番好きな星。



「泣くなよ」

「ごめん、帰ろうって言うから忘れてるのかと勘違いして……」

「……あれは、祭りのことで。早くこっちに来た方がみなみもいいかと思ったっつーか……」

「うん、わかってる。ありがとう……彗」


私を背中からおろしてくれた彗と、寄り添うように座りながら大きな空を見上げる。

足の痛みなんて、どこかにいってしまったみたいだ。


「……ねえ、彗。あの時お願い事したことも、覚えてる?」


そうやって訊ねたら、彗は静かに頷いてくれた。

ならばと思い、私は口を動かす。


「もう一度、お願いしてもいいかな?」