「……みなみ?」

「や、ううん」


まずい。

だんだんごまかしが効かなくなってきた。

少し前から、鼻緒が当たる部分が痛み始めてたんだ。


「……足、痛むの?」

「ちょっと……だけ」

「赤くなってんじゃん」


地面にしゃがんだ彗が私の足を覗き込んで言った。


「ごめん。絆創膏貼れば大丈夫だから」


せっかくの楽しい時間を、こんなことで台無しにしたくない。

それに、あともう少しで見たかった景色が見られるんだ。

……だから。

絶対に、我慢しなきゃ。

きゅっと口の端を結んで、カバンから取りだした絆創膏を急いで貼り付けた、次の瞬間だった。


「……今日はもう帰る?」

「え……?」


聞こえてきた言葉に、頭を鈍器で殴られたような感覚がした。

ドクドクと一気に血が全身を駆け巡る。