その瞬間、私は瞬きができなくなってしまった。


「なんでっ……」


数秒間重ねられた唇。


「したくなったから」

「なっ」


不意打ちを食らいテンパる私に、彗は表情を変えることなく言い放った。


「みなみもしてほしかったくせに」

「っ、もう!」


なんでもお見通しですみたいで嫌になる。

ほんと、彗に勝てる方法があるなら教えてほしいよ……。



***



それからお腹がすいたねーってことで、お祭定番の焼きそばとたこ焼きを食べた。

そのあと買ったいちご飴と一緒に写真を撮ろーって誘ったら、案の定彗は嫌がった。

でもここは、私だって簡単には引き下がらない。

攻防戦を繰り広げた結果、なんとか勝利してツーショットゲットしちゃったもんね!


そうやって、彗と二人のお祭りを満喫しているうちにすっかりと日が落ち、空は薄暗い紫になっていた。



「お腹いっぱいだねー」

「結構食べたからな。……そろそろ休憩する?」


そんな彗の提案に頷き、私たちはベンチを探して歩き出した。


と、その時。


「っ」


ピリッと足先に走った感覚に、思わず反応してしまった。