「ありがとうございましたー」


オレンジジュースを手に、にこにこと笑う凛ちゃんを見て、なんだかほっこりとする。

やっぱり、小さい子は見てるだけで癒されるなぁ。


……あ。

そういえばと訊ねてみる。


「それで、ここには誰と来たの?」

「おかあさんだよー」

「……どんな服着てたか覚えてる?」


問いかけたら凛ちゃんはうーんと考え始めた。

そして暫くしてから、あっ! と思い出したように目を大きく開いた。


「あのね、黄色のワンピース!」


……黄色。


「彗、探してみよっか」

「ああ」


そうやって動き出してすぐ、誰かが私のバッグをクイッと引っ張った。


「これ、かわいい!」

「ありがとう。これね、お姉さんのお気に入りなんだ」


私はそう言って、バッグについたそれを見つめながら静かに笑う。

彗とお揃いの、大切なキーホルダーだもん。


「つけてきたんだ」

「うん。ずっと持っておきたくて」


後ろから声をかけてきた彗ににこっと返す。


「でも彗だって……」


そこまで言いかけて、はっと口を噤んだ。