それでも緊張するのは緊張するの!

叫んだ勢いでパクッとスプーンを口に含んだ。


「美味しい?」

「……うん」


と、答えてみたのはいいけれど、ドキドキのせいかあまり味がしない。

ただ、口の中に残る冷たい感覚。


「みなみのもちょーだい」

「え、うん」


あーんと手を伸ばしたら、すぐにスプーンの上のかき氷がなくなった。


「これも、美味しいね」


すぐにニィッと降ってきた笑みにきゅーんと胸が締め付けられる。


彗とこんなことができる日が来るなんて、未だに不思議な感覚だ。

恋人じゃなきゃ、絶対出来なかったことだもの。


……でもね、満ちる幸福感の中、私はこんなことを思ってしまったんだ。


一人だけいつも余裕で。

私だけいつも翻弄されて。


彗も、私みたいにドキドキしてくれたらいいのに。


きゅっと唇を噛み締めてから、空になった容器を握りゴミ箱に向かう。

すると。


「……ぐすっ……ぐす」


小さな声が聞こえてきて、自ずと目線が横の茂みに向いた。


迷子かな?

そこには5歳くらいの女の子。

浴衣姿でうずくまって、一人寂しそうに泣いている。


“大丈夫?”

声をかけようとした時、隣の影が動いた。