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「わぁ〜」


すっごい。

お祭りの会場に足を踏み入れるや否や、一気に別世界が飛び込んできた。


焼き鳥に、りんご飴に、綿あめに、ボールすくいに、射的。

色とりどりの屋台がずらりと並ぶ光景にテンションが上がってしまう。


あっ。


「彗〜、金魚すくいやろう!」

「……」


グイグイと引っ張ってそう言うと、彗は眉をひそめて露骨に嫌ですと顔に表した。


「昔宙くんと3人でやったでしょう? 懐かしくない?」

「……見てるから。みなみだけやれば」


……む。

なんでそんなに嫌がるの?


──その時抱いた疑問は、すぐに晴らされることとなった。