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早く時間が過ぎないかな〜なんて考えているうちに、いつの間にか7月がやってきた。
じりじりと肌を突き刺すような暑さとうるさく鳴り響く蝉の声が、いよいよ夏本番を予感させる。
彗のバイトを見学したその2日後からスタートした期末テストも、無事終了。
私の心はすっきり解放気分に浸っていた。
いや、幸せ気分って言った方がぴったりかも。
だって、今日はついに──。
「あっ、彗ー!」
少し離れたところから見つめていたドアから現れたその人に、私はパァァァと目を輝かせた。
門を潜り出てきた彼の元へ一直線に駆け寄る。
……つもり、だったのに。
「わっ」
やばい。
きゅっと目を瞑った私。